タイトルだけ眺める本があっても、いいじゃないか

かれこれ
30年以上
廃棄処分や
みかん箱への
配置転換を
免れ

唯一
座右の
小さな本箱に
居座り続ける
本がある。

タイトルは
「アウトサイダー」

著者
コリン・ウィルソン

すっかり薄汚れて
いかにも
読み込んだ風をしている。

しかし、
総頁数
330頁のそれを

わたしは未だ
30頁以上
読み進んだことがない。

30年以上
毎年チャレンジするが
常に挫折する。

ただでさえ
難解な文章に加えて

翻訳という工程が
その難しさを
増幅させているかに
見える。

かねがね思う。

なぜ簡単に書けないのだ!

なぜ分かりやすく訳せない!

せめて
中学生程度で分かる話に
してほしい。

それでも
座右に
居座り続ける。

その理由に
最近
思い当たった。

「他力」を
本願とするわたしにとって
やはり
タイトルがしびれる!

寒風に
コートの襟を立てた
男の背中が見える。

これは
強烈な無いものねだりだ。

しかし. . .

あまり
幸せそうではない。

しかも
憧れたところで

よもや
「他力本願のアウトサイダー」は
成立しないだろう. . .

そろそろ
一思いに
廃棄してしまおうか、

それともみかん箱へ…

もうしばらく
迷いは
続きそうだ。

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