人は 平和に対し『 最後の最後まで 望みをもつべきである 』と知った ある夜の思い出 。

この季節に
なると

スイートピーを
思いだす

新宿で
呑んで

はるか
終電も過ぎ

ちょっと

歩く気分に
なった

. . .

健脚な
わたしは

品川辺りまで
鼻唄だった

が、

なにせ
目的地は

横浜!

. . .

少々朦朧と
し始めた頃

やや遠く
チカチカと

無数の赤色灯 …

目をこらすと
空港だった

道路標識を
見上げれば

平和島と
ある

うん ?

う〜ん …

平和を
謳うわりにわ

やけに
殺風景だし

わたしを
吹き飛ばさんばかりに

アルミボディーの
大型トラックが
行き交う

どの
トラックも

間違いなく

無人の
暴走車だった

わたしは
ただ一人

ロビンソン・クルーソーの
気分で

歩を
すすめた

平和じゃないから
きっと

平和島と
名付けたんだな

と思った
次の瞬間

やや広がった
歩道の芝生に

スイートピーの群れが
あった

わたしは
躊躇うことなく

芝生に
寝転んだ

春の柔らかな
風とともに

可憐な香りが
身体を包み

松田聖子の歌声が
聞こえた

平和だった

. . .

夢心地の
時は過ぎ

朝を
迎える

わたしは
徒歩を断念し

駅を
探した

確か
大森町駅

駅舎で

うどんを
喰ったはずだ

その丼は

本日
今日
この時

わたしがここに来ることを
知っていたよ

微笑んだ

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