おもてなしとは 特別なことではなく 日常のささやかな気遣いだと思うのだが . . .

その
普通電車は

グラグラッと

少し
揺れると

静かに

引き込み線へと
吸いこまれた

しばし
静寂

プツッ

仕方なさそうに
マイクが入る音

「 この電車は当駅で
およそ5分停車いたします 」

プツッ

マイクは
切れた

おや?

わたしの住む
片田舎でも

最近は
快速が走る

小癪にも
それが

追い抜いて
いくのだろう

ただし

その説明は
無かった

無かったことに
おや?


思ったのだ

おもてなし大国が
これでいいのか!

タライにのった
猫のように

わたしは
なすすべもなく

次の放送を
待った

弁当一つは
食べ終えられる頃

ガンガンガンガン….

隣線を激しく

列車が
通り過ぎる

わたしは
ブラインドを上げ

その姿を
確認した

それは
貨物列車だった

人馬優先なら
わかるが

はて

今時
貨物優先で

追い抜かれることが
あっただろうか…

かつて無いことが
起こるのが

世の常であることは
知っている

さて

この先で
有事でもあり

その
兵站のために

武器弾薬でも
輸送してるのだろうか!

まさか

それならヘリで
輸送するだろう

プツッ ..

「 お待たせいたしました
発車します 」

プツッ ..

電車は

グラグラっと
揺れながら

ホームを
離れた

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