あなたは「東京」が好きですか?

西に住むわたしは
新幹線で
時々東京に行く。

海の見える熱海辺りまでは
ふふ〜ん..と
ほっこりしている。

横浜を過ぎ、
品川が近づく辺りから
落ち着きがなくなる。

品川駅を出ると、
新幹線は
ゴトンゴト〜ン、ゴトンゴト〜ン
極端にスピードを緩め…

ちゃんと高層ビルを見なさい!
と言わんばかりに
わたしを
奈落の底に突き落とす。

車内アナウンスが
これでもかと言わんばかりに
乗り継ぎラインを
並び立てる。

さっきまで
ずんのめってた
サラリーマン達は
スーツの襟を正し
紳士に戻る。

わたしは
ふ〜っ…と
ため息をつき、
また東京に来た..と
思う。

ただ
これだけのことを
言いたかった。

これが
わたしにとっての「東京」だからだ。

東京駅に降り立つと
え〜と..と
ホームをキョロキョロし、
一陣が過ぎ去るのを待つ。

皆さも目的がありげに
足早に居なくなる。

おっとりしてると
次の新幹線が入ってくる。

あらあら..と
エスカレーターで
在来線に向かう。

山手線で
ヨレヨレになりながら
新橋で降りる。

30代の10年を
過ごした街だ。

そして、
東京も大したことないことを
やっと思い出す。

Written by: