もはや諜報活動は 虫の時代! ゆめゆめ怠りなきよう。

最近よく
カメムシが

机の周囲に
やってくる

また来たか . . .
と思い

ピッ 
指先で弾く

彼は

ブ〜ン

電灯の笠を一周して

よりによって
もっと近くの

キーボードの端っこに
止まった

おい〜
潰されたいのかよ〜


独り言を
言いつつ

潰す勇気は無い

仕方なく
しばらく眺めていて

ふと思った

もしかしてこいつ . . .

サイボーグじゃないのか!?

どんな機械だって
マイクロ化できる昨今

カメムシに
電子カメラを仕込み

衛星からの
誘導電波で
我が家にやってきたのでは?

そう思うと
少し心配になってきた

どこかに
カメラを仕込んでないかと
注視する

わたしと視線が合ったのが
都合が悪かったか

彼は
細い触覚を
チョロチョロ動かしながら

returnキーの周囲を
後ろ回りに
ゆっくり
回転する

わたしは

万が一
起爆装置が
仕込まれていることも考え

ぴょん

やさしく
キーボードから
振り落とした

彼は
わたしの警戒心を
解こうかとするように

腹を天に向け

ウゴウゴと
手足で
宙をかく

どう考えても
わたしの家に来る必然性は
無いが

もはや
諜報活動は
虫だな!

確信した

でも〜

なんのエネルギーで
動いてるんだろ?

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