再び
四国へ
二泊三日の
家族旅行に出た
龍馬記念館は
休館中
やれやれ
洗濯したい気分で
桂浜を歩き
高知市の宿に
入った
大きめの
夕食ホール
個々の
客人用に
30卓近くが
セットされている
我々家族に
一瞬遅れて
目の前の卓に
年輩の4人が
静かに着かれた
性別は
伏せる
それぞれに
歴史を背負った
4人の表情には
明らかに
形容しがたい
緊張感が
うかがえた
もしかして
和解への
旅だろうか
張りつめた時が
どれほど
経過しただろう
一人が
両手で
徳利を捧げもち
一人へ
静かに注ぐ
注がれた
浴衣の肩が
ゆるやかに
和み
初めてその席に
小さな笑い声が
立ち昇った
理由など
ない
わたしは
こみあげる涙を
必死に
ワサビのせいにした
龍馬記念館は
休館だったが
なんと
いい一瞬に
出会えたのだろう
翌日は
一般道を
5時間かけ
瀬戸内側
伊予の宿に
入った
道中
昨夜の
シーンが
脳裏を
駆け巡ったのは
言うまでも
ないが
すでに
高知市の引力は
ない
夕食の席
刺身醤油に
ワサビを溶いていると
一瞬遅れて
目の前の席に
4人
. . . .
え、
ま、まさか!
わたしは
目を疑い
同時に
神を
確信した
それは
紛れもない
少し
角のとれた
昨夜の
4人だった