シャワーから「 水」 や「 ぬるま湯 」が出る至福を肝に命ぜよ

わたしは
ホテルの
チェックインに
苛立っていた

フロントマンは
続ける

「お客様
お風呂は
要りますか?」

「要る!」

「シャワーが
オプションと
なっておりますが?」

「要る!」

「水圧は
弱、中、強の中から
選べますが?」

「強!」

「強は
割増料金と
なっておりますが
よろしいですね?」

「 . . . 」

「お客様
エアコンは
要りますか?」

「要る、
絶対要る!!」

「29度、28度、27度
の中から
お選び頂けますが?」

「26度は?」

「割増料金となります。」

「27度」

「はい、ありがとうございます。
それでは続けて…
あと2問でございます。
パジャマは要りますか?」

「要る!」

「綿、麻、シルクと
ございますが?」

「シルク!」

「割増料金となりますが?」

「綿!」

「お客様
最後の質問ですが
蝉は要りますか?」

「?!、 蝉?」

. . . .

そこで目が覚めた。

時計は早朝5時を
指している

綿のパジャマは
ぐったりと汗

世界を
覆い尽くす
蝉の声

わたしは
体温のような空気に
よろけながら

26度のエアコンを
起動させ
風呂場へ…

ぬるま湯の
シャワーを浴びると

ホッと
一息ついた。

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