結局だれが   想い出を整理して   この街を歩くのだろう?

久しぶり

夜の京都を

歩いた

薄い三日月も
没し

時刻は
深夜0時

閉ざされた六角堂に
会釈する

大きな門扉に
夜叉のような木目があり

お〜
来たのか!

生意気に
わたしを
見くだす

ラストオーダーまで
1時間猶予の

とある
居酒屋に
迷い込む

「 熱燗!」

周囲を
キョロキョロする

わたしには

行きつけ..という店が
まるでない

逆に言えば

全てが
わたしの店だ

周囲は
わたしのことを

「 ドラクエ 」
と言って

とても
珍しがる

初めての
店の扉を

次々
開けては

淡々と
閉めて

さらに次へと
向かうから
…らしい

普通のことなのに


思う

熱燗で
ポカポカになり

わたしは
店を出る

犬のように
電柱で
止まっては

方向を
思案する

辻々から
人が出て笑う

今どうしてるの?

聞くと

しじまに
消える

若き自分も
出てきて笑う

初冬なのに
半ズボンをはいている

時は
混濁し

酔いが
拍車をかける

あちこち
新手のホテルが立ち

町家跡地が
コンビニになる

わたしの
朗らかな記憶は

わたしの許可も
とらず

どんどん
蝕まれている

きっと
2〜3年もすれば

また

すっかり変わった
街になるに

違いない

最終型は
ないのだ

これからも
ドラクエを続けなきゃ


思った

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