素戔嗚に見守られて 、今年も 熱い京都の夏が 、. . . . 始まる

うだるような
熱い夏にも

一瞬

心踊る時刻が
ある

人々の表情が
判別しにくくなる

宵の
四条大橋

上気した
人々の声音に

微笑ましい狂気が
移ろう

東山正面は

赤く輝く
八坂神社

少し手前に

艶やかな祇園界隈

橋のたもとに

白く
ライトアップされた
南座

橋を渡れば

川床で賑わう
先斗町

少し進めば

雑踏のるつぼ
四条河原町

それら

狂気の連鎖をつなぐ
四条大橋からは

すでに
北山の影は見えず

一方

南の果てに

断末魔のような
ブルーライトの夕焼けが

没しようとしている

ふと

河川敷に
目を落とせば

白く揺蕩う
恋人たちの列 …

よろしいやおまへんか〜

時にはおバカになりよし〜

お稲荷さんの声がする

ウチも

天照さまを
天岩戸からお救いする時は

ついつい我を忘れて

裸踊りを
したもんどすわ〜

オッホッホッホッ . . .

なんと

アメノウズメノミコトの
衣擦れが

耳元を通り過ぎる

時は
激しく錯綜し

道を迷う
若者の路上ギターも

心地よい狂気を
盛り立てる

ふたたび
奥正面の八坂さんに
目をやる

万事おこたりなし!
遊べや歌え!

ねぶたのように
肥大した

赤ら顔の
素戔嗚が

空中から界隈を
見おろしていた

今年も
祇園祭が始まる

Written by: