昔ある人に
悲しみは喜びだ
と、慰めたことがある。
最もシンプルに、
ダイレクトに響くように、
そして、長く生き抜く上で
感情のヒダが増えるから…という意味で言った。
しかし、後に
随分な暴言を吐いたものだ
と、何年も悔いた。
自分は本当の悲しみを知らない、
だから言えた…と確信した。
しかも、この表現は
生き残った人間しか言えない。
まさに傲慢の一語。
この世には、取り返しのつかない悲しみがある。
ここ数年、3.11が来る度にその思いを強くして自戒する。
言葉としては一定の説得力を持っていたとしても、
やはり適切でない言葉はこの世に多い。
だが言葉は待ってくれない。
唐突な質問に無意識に反応することもある。
日頃から言葉を精査し、
適材適所のボックスに入れ、
軽く鍵をかけておくくらいで丁度いい。
一度出た言葉を撤回して何度もお辞儀を繰り返すのは
あまり美しいものではない。
幸い現在、私の周りには、
常に厳しい監視を頂いている。
感謝申し上げる。