小さければ小さいほど発揮される空間美

大きければ空間美は発揮されない
ということではない。
コストがかかるだけだ。
関東平野の一角に
風水のごとく鎮座する富士山は
例外中の例外であり、
だからこそ世界に誇る日本の宝である。
古からそこにあり、
コストもかかっていない。
しかし、
言いたいのは
小さい方が大きい空間を生け捕りにできる
という点である。
まさに借景の概念だ。
幼少の頃、
もぐった机の下から
白熱電球に照らされた
わずか四畳半二間の我が家を見渡し、
随分広い家だ..と思った鮮やかな記憶がある。
笑い話のようだが、
その印象は私にとって
美意識の原形になっている。
しかも、
手の届く位置になんでもあるという
この国の四畳半的狭さは
ひねもすのたり..にもってこいであり、
何処かから誰かに見られてる..
という恐怖感もない。
義政が書院造りに精を出した気持ちも
理解できる。
そしてその後は、
淡い光以外の景色を遮断し、
ただ目前の
人に対峙するという
茶室の概念へも分派し、
進化する。
やはり小さい方が
なにかとコストパフォーマンスは高そうだ。

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