さわやかな
5月連休
帽子姿
畑に出て
鍬を入れる
サクッ
サクッ
掘り返した土が
乾いた風に舞う
この
鍬のおかげで
農産物の余剰が生まれ
都市の礎となった
製鉄は
ヒッタイトに始まると
聞いたことがある
彼らは
どうやって
鉄を
発見したのだろう
初めは
天空から降る
隕鉄(いんてつ)を
利用したらしい
それを
叩き伸ばし
武器や農具に
加工したこと自体
驚異だ
だけど
そこからどうやって
タタラ製鉄へ
発展させたのだろう
おそらく
落ちてきたばかりの
赤黒く燃えたぎった隕鉄を
彼らは何度も
取り囲んだはずだ
不思議そうに
赤黒く反射した
彼らの表情を連想する
しばらくすると
隕鉄は冷え
その辺りの石塊と
なんら変わりなくなる
一部始終を
見終えた彼らのなかの
利口な一人が
この地面の石塊でも
強い熱を加えれば
隕鉄になるかもしれないと
気づいたはずだ
映像の逆回しである
火は
50万年も昔から
使われていたらしい
どうやったら
その石塊を
隕鉄に戻せるか. . .
どこにも
どの時代にも
気の利いた奴が
いるものだ
もし人類が
わたし的
人間だけだったなら
未だに
旧石器時代だな…
毎年
5月連休は
同じことを想う