京都と地下鉄について考える。

私の大学生時代、
京都にはまだ
市電が走っていた。

しかし、
3年生の頃か
1978年らしいが
彼らは完全に姿を消した。
他都市にない
潔い幕引きだった。

そしてその3年後
1981年には
もう地下鉄が
走っていた。

私は当初、
この狭い観光都市に
地下鉄が要るのか…
と不思議に思った。

地下鉄は普通、
ビジネスマン中心に
経済密集地で
成り立つものだ。

なのに
京都の地下鉄には、
その経済臭がまるでない。
乗客の中心は
朗らかな市民、学生、観光客だ。

営業収支の上では
それが弱点であろうと推測する。

しかし京都市は断行した。

地下鉄という概念を
別次元で捉え、
35年も前に
軌道を
地上から
地下にシフトした。

地上に慢性渋滞を抱え、
観光収入によって成り立つ
おもてなし京都にとっては
あのタイミングだったのだろう。

最近気づくことがある。
地下鉄に多くの旅行者、
しかも海外からの旅人が目立つようになった。
一気に目的地へ…という算段か。

もう一つの古都
奈良とも直結していることで
東京オリンピックも視野に捉え、
35年前の決断とその力量が
これから本当に試されることとなる。

Written by: