「 簡潔 」という在り方にこそ 核心を感じる日々。

人は
どちらかと言えば
難解な本を
好む。

かく言うわたしも
学生時代

3~4段の書棚に
読みもせぬ
世界情勢の
ハード表紙を並べ

隙間ができると

さらに
難解な本を買って
つめ込んだ。

何もすることがなく
時に
しぶしぶ
本を捲ったが

頭は
浮世のことで
一杯ゆえ

何度も
同じページを
行きつ戻りつした。

その経験あって

後年
本を捨てた。

今は
簡単な本ばかり買う。

読む内に
引用が多かったり

主語は誰なのか?..と
迷うような本は

申し訳ないが
捨てる。

自分の言葉で

起承転結もシンプルに

勝手な結論を
明示している本を
好む。

なぜなら

簡単な言葉で
結論まで導くことが
異様に
難しいからだ。

簡単に書く
ということは

エキスが
赤裸々になる。

その人の素性も
すっかり
バレてしまう。

しかも
背表紙は
薄くなる一方

書棚に埋もれ
タイトルすら
読めない

よって
印税も
薄くなるだろう。

それでも
果敢に
出版される本が
ある。

わたしは
密林の中で
蚊蜻蛉 (かとんぼ) を
探す勢いで
そんな本を
探す。

つい最近も
そんな本と巡り合えた。

彼は一切
私のお財布の邪魔をせず

いとも簡潔に
わたしの心胆を
ほぐしてくれたのだった。

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