風は
好きだ
曖昧で
往々にして
ナルシスティックだが
じつは
実態がある。
もちろん
酒を呑むのも
風に
出会うためだ。
風は
今でいう
素粒子だ
あまりに小さくて
見えるはずも無いが
古から
今に至るまでの
人の
憶い
記憶
欲望
達観
それら全てが
香りの粒子となって
日々
鼻先を
通り過ぎている。
全てに
間違いなく
質量があり
組み合わせは
無限大だ
知識人が言う
量子もつれのように
時々に
姿かたちを変え
人々の感情を
激し
時に安らげ
時に
眠りに誘う。
あまりに
具体的なのだが
その
ミックスブレンドは
膨大過ぎて
それゆえ
曖昧を装い
宇宙も
比較にならないサイズで
周囲に
渦巻く。
酒は
それら素粒子に
とても
相性がいい。
抜群なのだ。
鼻先を
流れる瞬間
アルコール炎が
リトマス試験紙のように
素粒子をとらえ
鼻腔をくぐらせる。
脳は
それらを
恐ろしい速度で演算し
答えを出す。
もう一度言う
それらはあまりに
具体的なのだ!
ただ
膨大過ぎて
一つの答えに
修練できない…
待てよ!
AI
人工知能ってやつは
この
酒を呑みながら
演算し
限りなく
曖昧な
かつ
具体的情報を
制御できるのだろうか
そこには
実は、
答えが、
無いのに