わたしは
走りながら
なにかを
蹴っていた
それは
サッカーボールの
ようでもあり
ナポリタンの
ようにも見えた
この靴
昨日おろした
ばかりなのに …
ふと
背中を叩かれる
振り向くと
男が
マイクを
わたしに向け
イタリア代表監督として
お聞きします…
と
言った
わたしは
また
システムのことか …
と思い
彼を凝視すると
「 最近のキャベツの値上がりについて
どう思われますか? 」
と
彼は言った
網羅的な知識が
必要だった
と
わたしは
反省し
うなだれた
気づくと
足元が水浸しだ
顔を上げると
そこは
サン・マルコ広場
だった
隣に座る
イタリア女優が
「 気にすることないわ
これでも食べない? 」
と
切子ガラスに入った
モズクを勧める
わたしは
ズルズルッと啜り
ベスビオ火山を
眺めていると
彼女が
「 ベネチアの地面の下は
モズクだらけよ 」
と
言った
わたしは
虚ろに聞き
初耳だな〜
と思いながら
システムなんて
永久に謎さ …
と
言った
すると
彼女も
「 そうね 」
と言った
. . .
目が覚めた
出張先の
ベッドだった
我に
かえる
キャベツを買って
帰らなきゃ
と
思いつつ
モズクも
買うことにした