夏のはしりに想う あの 凛として 白きイメージ . . . 汝の名は

はしり…
にこそ

夏はある

夏に
なれば

それはもう

ただ

過ぎ去るのを
待つのみ

. . . .

しかし

ひとつだけ

起死回生の
救世主が

ある

いや、

いる

『 鱧(ハモ)』 だ!

梅雨明けの
うだるような
暑さ

その
もっとも
凌ぎにくい時期に

最高の旬を
むかえる魚

ん?

あれは
魚か?

ウナギか蛇か?

はたまた
天空を駆ける

龍の化身か!

獰猛な顔つきと
強い生命力

だから
古より

淡路の沖より
内陸の京都まで

元気なまま
やってきた

そして

夏の息災を願う
あの
祇園祭と同舟し

鱧祭りとまで
呼ばしめた

あの
骨切りの音は

まるで

涼やかな
カキ氷を想わせる

打ち水をした庭と
侘び茶

椀の
ただ一品を
慈しむ心

かすかな風を
読みとる
肌と産毛

ハイライトの庭に

グラデーションの
縁側と畳

仄かに薄暗い
部屋内

その中で

燦然と
白さを放つ

少量の鱧は

冷製梅肉添え

口にした瞬間

何も汚さず

淡白にして

甘く
涼しい

あたかも

内に
火を抱えつつ

凛と涼しい

着物姿の
女性のように

. . . .

すすめられるままに
一献

このあたりできっと

コン!

鹿威しが
鳴るはずだ

庶民は
イメージにて
夏を
乗り切る(笑)

その鎹(かすがい)に

今年も鱧が
君臨す

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