数日前のこと
風雪を
ともない
スサノオが
荒ぶれた日の夜
意外にも
京都の空には
澄み切った
氷結の満月が
昇った。
そうだ!
明日は
高雄へ行こう…
翌朝
満を持して
高雄行きバスに乗る。
秋の紅葉は
人で溢れるらしいが
残念ながら
わたしは
この地が
水墨画と化す
冬しか
訪れたことが無い。
人影は稀だ。
目的地は
神護寺..
自然石の階段が続く
その参道は
一旦
深い峡谷に下り
清流に触れ
やおら
中腹の山門を目指す。
この石段が
結構きついのだ
獣のような
一陣の風に
堪え兼ねた樹氷が
降り注ぎ
時折すれ違う参詣者と
静かに
労をねぎらいあう。
境内に入ると
和気清麻呂公の霊廟
裏山にある彼の墓標にも
参拝
平安楽土を目指し
平安京造営の
責任者として
日本の黎明期を
立ち上げた人
本当は
どういう人だったのだろう?
耳を澄ます
ポヨッポヨッ..と
雨滴の音
直後
ズサーッと
金堂屋根の雪が
落下する。
この人を追い
岡山〜大分と放浪した日々
彼は常に言う
きみは
今のためにのみ
生きているのでは無い
いや
むしろ
遠い遠い
先の世に向けて
生きているのだよ…
そんな教えを頂いて
お〜寒..っと
帰りのバスに
急ぐ。