あなたが いちばん感動した景色は どこですか?

わたしは

正直言って

自分自身の
記憶、夢、妄想に適った
街の甘い空気は
好きだが

単純な
ただの景色は

それが
東洋の多島美であろうと

世界の瀑布であろうと

最高峰の山頂であろうと

ほ〜

と言った途端に

飽きてしまう。

何処でも見れそうな
ちょっと
美しい女性が
傍を過ぎただけで

もう景色など眼中に無い…

という按配だ。

残念な
わたしである。

しかし

無理やり
ひねり出せば

実は
一箇所
あるのだ!

カレル橋から見上げた
プラハ城

いや、
プラハ城一帯
と言うべきか

この時ばかりは
流石のわたしも

2分近く
その美しさに見入った。

過酷な
エコノミーに挟まり

ある一座に
付き従って
辿り着いた
場所ではあったが

その人為的稜線と
パノラマチックな空の融合は

わたしに
1分間の正視を
強いた。

あとの1分間は
何を見ていたかというと

イヤイヤ
女性ではない

カレル橋の下を流れる
ブルタバ川の
さざれ波だ。

その時
わたしの耳には

360度
マルチサウンドで

あの『 モルダウ 』が

静粛かつ

押寄せるごとく

鳴り響いていた。

人と
歴史と
芸術に

景観が
融合した一瞬

あ〜来てよかった

素振りには出さず

心の中で

合掌した。

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