「お気がる出張」の極意について考える。

小さな出張は
とても楽しい。

新幹線の中で
大口開けて爆睡したり
子供のように空想ごとをする。

しかし、
目的地での過ごし方は
今と若い頃ではかなり違う。

若い頃は
折角の出張だからと
仕事以外の時間を
めくらめっぽう動き回った。

犬も歩けば棒に当たる…
というやつだ。

行かなくていいところへ行き
会わなくていい人に会い
言わなくていいことを言った。

当然収穫は少ない。
いつも
見えない何かに
追われていた。

最近はちょっと違う。

一番の違いは
多くを求めなくなったこと。

一例で語れば、
たまたま入ったハーブ喫茶の店内が
恐ろしく狭いのに
びっくり満席…

以前なら1秒置かず
退散していたが、

今は入口でもじもじする。

すると
「あ、こちらでよかったら…」
と1席空いたりする。

「どーも」と言って座り
周囲を見回してから
目配せすると
周囲の人と同じ
ハーブチキンライスと
ハーブコーヒーが
出てきたりする。

自分からせかせか動かず
合気道の精神だ。

食べてみると
あ、美味しい。

流れてるボサノバも
お客同士の密着感も
悪くない。

あ、こういうことなのね、
と思う最近である。

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