落としてはいけない . . .と思ってると文庫本がポロリと落ちる我が家の浴槽。

わたしはよく

浴槽で
本を落とす。

いや
表現が違った。

落ちてもいいと
思ってるから

よく落ちる。

しかし、

ポチャン . . .

落ちると

アッ!

と思い
すぐ引き揚げる。

DNAの中に
本は落としてはいけない
という規則が
ある。

しかし、

どこかで

落ちないかな〜
とも
思っている。

これが
欧州で
印刷機が発明される前や

遣唐使が
全てを書写して
大陸から教本を
持ち帰っていた頃であれば

ベロを
抜かれるところだ。

しかし、

文庫本など

一度落ちると

とても頃合いが
よくなる。

詰まっていた頁が
ボワンと波打って

捲るのに
至極楽である。

しかも、

本に対して
全く遠慮が
無くなる。

もう
メモも
描き放題だ。

時には
キミはメモ帳か!?

と間違う。

空白が無くなるくらい

あちこちに
ペンを走らせる。

そして

ふわ〜ん . . と
浴槽で歌を謡う。

頭が
くるくる回る。

目眩ではなく

脳の動きが
よくなるということ。

そして
文庫本に言う、

もうお前は
完全にオレのものだ!

その後は

何処へ行くにも
手の中で
丸め放題、

ジーンズの
後ろポケットにも
収まる。

先週買ったばかりなのに
もう5年も
読み込んだような風合になる。

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