怖るべし、浦沢直樹氏の「漫勉」企画

漫画家
浦沢直樹氏がアンカーを務める
「漫勉」というシリーズ番組を見た。
驚いた。
漫画家の技能や情熱についてではない。
多くの同業漫画家たちが
仕事場に無数の定点カメラを設置され、
細かなペン先作業や独り言まで
映し撮られるという屈辱に耐え、
最後には、
アンカー役である浦沢氏と共に
編集された自らの作業風景を
自虐的に、
または自負をもって
語り合うという
企画自体についてである。
ペン先のマジックは
いわば漫画家の極秘事項だ。
彼らはそこで飯を喰っている。
それを
白日に晒し
ネタとして笑いあうなど
私には想像もできなかった。
必死に描いている部分を見せることは
読者の夢を削ぐことにもなる。
しかし一方、
この企画は、
日本が有する漫画文化
いや、
読者の意識とでもいうものが
とてつもなく進化した証なのだ..
とも思った。
もはや読者は
そこを見たがっている。
もちろん
漫画家にしてみれば、
真っ白な紙に線を紡ぎ、
猛烈な勢いで
ストーリーを仕上げる作業が
とても一朝一夕で
マネできる代物ではないという
強い自信に裏打ちされているからでもある。

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