とある朝  なつかしい会遇に頬ゆるむ  駅への下り道

その朝は

4時過ぎ
目が覚めた

一番電車へ
家を出る

すっかり明るい

天空中央に
居残った

色白な
下弦の月と
目が合う

ひゃ〜
随分と
お久しぶりやないの〜

彼女

え!
いつ
お会いしましたっけ?
戸惑う わたし

何言うてはりますのん
30年前
あんさんが
山小屋へ行かれる朝
お会いしてますやないの〜

え?
随分と古いな
えっと〜. .

そやろな〜
あんさんは
あの時
なんや
思い詰めたみたいに
下ばっかり
向いてはりましたな〜

あ!
. . .
30年前の山小屋というと
あの時の!?

そ〜どすわ〜
あんさんが徹夜しはって
愚にもつかぬ企画書を
ぎょうさん
提げてはった
あの朝や
. .
ウチが
「相手はタヌキやさかい
あんじょう たぶらかしなはれや」
言うて笑うたら
あんさん
やっと
ウチを見上げて
ニコッと
しはったやないの〜

あ〜
覚えてる!
急に元気になったのを

そん時の
カグヤどすがな〜
おほほほほほ

30年か〜

そやねえ
早よおすな〜

キミはしっかりと
お務めを
果たしてるんだね〜

おほほほ
なに言うてはりますのん
同じことの
繰り返しどすがな〜

次も
逢いたいものだね〜

そうおすな〜

元気に行っておいでやす

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