忙中閑
高速道路を
駆る
日常を
一気に
抜けると
修羅の
気ぜわしさも
バックミラーに
霧散する
高中正義の
Blue Lagoon が
高鳴り
エクスパンションが
小気味よく
タイヤを鳴らす
わたしは
音符となり
さらには
カミオカンデの
素粒子となる
ATMが
札束をめくるように
記憶が
回りはじめ
後方へ
飛び去る
時折
スロットが
0.01秒
止まり
人の顔が
見える
遠い
過去の人
鬼籍に
入った人
今
親交のある人
その誰もが
スターティングボードの
顔写真のように
眩しく
笑っている
わたしが
生きている限り
誰も
死なない
わたしは
観念の中に
いる
世界は
わたしを
公転している
トンネルに
入る
赤
白
黄色
折れ線グラフの
残光が
眼球を
飛び跳ねる
いよいよ
天の川を
抜ける!
相対性理論とは
高速の中でこそ
人は
真理に触れる
と
いうことか…
勝手な定説を
つくる
誠に
僭越ながら
二度と戻れぬ空母を
離艦し
最前線へ飛ぶ
ゼロファイターの
コクピットを思う
車線規制の看板!
各車
スピードを落とし
一車線となる
あんなに回っていた
記憶や感傷も
ピタリと
止まる
お腹が
鳴る
そういえば
あそこの
カレーパン!
難なく
SAへ
吸い込まれる