ず〜っと ず〜っと 生きつづけて欲しい 柿の木さん

今年の
連休も

窓際で

大きな
柿の木を見上げて
過ごした

連休が
明けると

うさぎの島へ
行った

わたしより
のんびりしている
生きものを

見たかった

期待通り
彼らは

穴の中で

エビぞって

死んだように
寝ていた

安心した

わたしは
家に帰り

また
柿の木を見上げた

ザワ ザワ ザワ〜 . . .

風の音がして

緑が束になって揺れ

新緑の匂いがする

柿の木が
言う

ボクはこうして
キミに
限りなく風を
届けているよねえ

ありがとう
わたしは言う

会話は続かない

わたしは彼に
なにもできないから

. . . . .

街に出て
用事を済ますと

すぐ家に帰り
柿の木を
見上げる

おかえり
彼が言う

どーも
わたしが返す

彼は
わたしが
留守にしていても

いつもそこにいる

あれ
何処へ行ったんだろ〜

とか心配は
絶対にさせない

彼は
ネットも見ないし

いかにも忙しそうに
仕事もしない


電気スタンドも点けない

なのに
秋になると
いっぱい実を付ける

それだけじゃない

全身で
天文学的数の
微生物を
養っているそうだ

彼は言う

動くなら
もっと意味ある動きを
しろよ〜

わたしは笑って

ちょっと
昼寝してくるよ

と言い

ベッドにもぐる

風の音が
している

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