かなり幸せな「小銭貯金」に、鉄槌を喰らわせた . . . おねえさん!

市中で
発生する小銭は

自宅へ帰ると

愛用の
クッキー缶に
投入する。

半年位して

御幣を振る気分で

クッキー缶を
開封

金種ごとに
1枚2枚と
10枚ずつカウントして並べ

ニコニコする。

諭吉は
手元に留まることを
一切知らぬゆえ

この小銭こそ
わたしの金である。

つい先日
8万円余り
溜まったので

勇躍
銀行へ向かった。

馴染みの信用金庫が
統合移転し

中位の
地場銀行へ
持ち込んだ。

窓口の女性が
ちょっと上目遣いで

「幾らですか?」
と聞く

「8万3千577円」と
言いそうになったが

見栄が
働き

「8万円くらい」
と言った。

その女性は
ボールペンを持った片手で
耳の脇を掻き揚げ

一瞬デスクに
視線を落とした直後

「手数料が648円かかります!」

とわたしを直視した。

一瞬
気色ばんだわたしを

彼女は
じっくり観察した。

「信用金庫では手数料なんか無かった!」

反抗すると

「銀行によって異なります!」
彼女は言った。

5秒の沈黙後

「わかった」
わたしは降参した。

同時に
信用金庫の笑顔を
懐かしく
思った。

半年後の
小銭貯金の時には
ガソリン代がかかっても

あの
信用金庫へ
持ち込もうと

固く決意した。

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